コラム:株主優待生活

以前、株主優待で生活費の大半を賄っている人の記事が出ていて、それに対して「自分は真似したいと思わない」といった否定的な意見が趨勢を占めていたことに驚きを感じます。僕の場合、妻子がいるので、株主優待で生活費の大半を賄うことはできません。しかしそれに準じた生活をしています。家族も僕の方針に概ね賛同してくれているので、意外に感じています。
株主優待生活について僕の感じていることと多くの人のそれとでギャップがあるようなので、QA形式で僕なりの考えを改めて示します。
Q:株主優待にこだわるくらいなら、キャピタルゲイン重視で株式投資するのが筋では?
僕:非株主優待銘柄を買って株価が値下がりしたら、それこそ救いがありません。株主優待銘柄であることと、キャピタルゲインを狙うことが相反するとも思いません。また株主優待は日本独自の文化です。ジャポニズムを育むという点においても株主優待に協力する意義はあります。
Q:例えば、外食店の株主優待の場合、その系列店で食事しなければならない。それって窮屈では?
僕:外食店の場合、自宅の近くに店舗があり、なおかつ食事したいと思えるチェーン店を中心に株を購入しています。食事したいと思わなければ、その銘柄の株主にならなければいいだけのことです。ちなみに僕は超がつくほど不味い社員食堂で毎日食事をしているので、フランチャイズチェーンの外食店の味にまったく不満を感じません。高級料理は高級料理で僕の口に合いません。「ン千円も払ってこの程度の味かよ」という感想しか抱けないので。
Q:株主優待を使うため、遠く離れたその店まで徒歩や自転車で移動する人がいると聞く。自分はそこまでケチケチしたいと思えない。
僕:僕も自転車を駆使する派です。しかし徒歩や自転車で移動するのは交通費を節約することだけが目的ではありません。運動不足解消、ストレス解消(サイクリングを楽しむという意味)など副次的な目的を兼ねています。運動不足解消という名目だけではなかなか運動する気になれないので、よい機会と捉えています。
Q:株主優待に束縛される人生が楽しいと思えない。
僕:なにもかも株主優待で完結させるつもりはありません。必要があれば、現金で買い物します。株主優待とは無縁の海外旅行にもたびたびいきます。ただ現金を叩いてでも「これが欲しい」と思えるもの/ことが最近なくなったのも事実です。ここ数年(け)のアメリカンフットボールの試合観戦によくいきます(もちろん無料)が、あれを見てしまうと他のなにを見てもつまらなく感じます。費やす料金と楽しさが反比例することはあっても正比例はしません。自分が本当に素晴らしいと感動できるものに出会えるのであれば、株主優待に関係なく金を注ぎ込むでしょう……まったく期待していませんが。
Q:倹約生活に付き合わされる家族が可哀想。
僕:家族にさほど倹約を強要していません。例えば(き)には「アルバイトで得た収入をなにに使っても構わないが、なににどれだけ使うべきかを考えるのも大切な勉強だ」とだけ言い、あとは本人の判断に委ねています。もちろん収入があるからといってムダに贅沢な生活を送るのは、子供の教育上という観点で好ましく思えません。一方、家族にも喜んでもらえるように、例えば女性向けの株主優待銘柄を意識的に保有しています。
Q:金があるならどんどん消費して世の中の経済を回すことに貢献するのが本質では?
僕:意味が理解できません。株式投資そのものが経済に貢献する行為です。
Q:金はあの世まで持っていけないので、生きているうちに使い切らなければ意味がないのでは?
僕:もしも財産が余ったら、子供が相続すればいいだけのこと。というか子供に遺産を残さず使い切るという思考が、むしろ僕には理解できません。