情報処理教科書ITパスポート2009年度版



● お知らせ ●

今から8年前くらいのことになりますが、当時、ベンダー資格と言われるIT企業主催の資格が脚光を浴びていました。
僕も周囲から「お前もベンダー資格を取れ」とうるさく言われたもので、それが厭で、真面目に勉強してコンピュータに関する資格を根こそぎ取ろうと決意しました。もう誰にも「資格を取れ」だなんて言わせないぞ、と。
努力が結実し、マイクロソフト認定システムエンジニア(MCSE)をはじめ、ORACLE、CISCO、SAPの資格を次々に取りました。
このうちマイクロソフトとCISCOについては、完全に独学です。このとき愛用した参考書が、翔泳社の教科書シリーズ……いわゆる赤本でした。ひとつひとつがとても分厚い参考書で、教科書シリーズのおかげでいくつもの試験(ちなみに当時、マイクロソフトのMCSEを取るためには、6種類の試験に合格しなければいけませんでした)を突破したものです。
ちょうど小説家になる夢をいったん諦めた頃のことで、あの頃は滅茶苦茶勉強したからなぁ。
まさかその教科書シリーズを自分が書くことになるとは思ってもみませんでした。
まもなく出版される「情報処理教科書ITパスポート2009年度版」です。本日、見本が届きました。
情報処理技術者試験は次回から順次、新制度へ移行します。
コンピュータ資格の登竜門と言われる初級システムアドミニストレータも次回で終わり、その次からはITパスポートという資格へ切り替わります。そこで各出版社とも新制度に対応した参考書を作らなければいけないわけですが、その際、僕にも声をかけてもらえたというわけです。
今回の依頼は正直に言って、受けようかどうしようか悩みました。
ゼロから参考書を作るのはかなりしんどいことです。しかもITパスポートはまだ実施されていない試験なので、自分からあれこれ情報を収集しないと参考書なんて書けないわけです。
今、やるようなことなのかな、と悩みました。
もっと小説に比重を置いたほうがいいんじゃないのか、という意味です。
ただ、色々なジャンルで作品を作り、それらがお互いに干渉し合うことで、次によりよい作品を生んでいく……というのが僕の創作スタイルになっているので、やれないんだったらどうしようもありませんが、やれる限りとにかくやってみようという判断が働きました。
それに、あの教科書シリーズに携わることができるというのも大きな魅力でした。
ずっと読者の側でお世話になってきたものに関して、作者の側に回るというのは、感慨深いものです。
手元に届いた本を見て、引き受けてよかったと思っています。
店頭に並びましたら、どうぞよろしくお願いします。