毒物劇物取扱者(一般)


毒物劇物取扱者の試験合格報告です。

<受験の経緯>

昨年の4月に勤務先にて資格部が発足し、これに参加したのが発端。僕自身は国家資格コレクターとして活動を始めました。
国家資格、中でも技術系の資格は自分の知能を客観的に測る物差しとして極めて有効だと思うので、これに狙いを絞って活動しています。
国家資格は色々あれど、なぜ毒物劇物取扱者を?
先日、甲種危険物取扱者の資格を取得したからです。
危険物取扱者と毒物劇物取扱者って試験の範囲が一部重複します。だったら甲種危険物取扱者の知識があるうちに毒物劇物取扱者まで手を広げたほうがいいはずだ、と。甲種危険物取扱者の受験直後にふと思い立ち、急遽方針を固めました。

<試験概要>

まず毒物劇物取扱者には、一般、農業用品目、特定品目の3種類があります。一般に合格すればすべての品目を扱えることから、一般を受験する人がほとんどです。もちろん僕がチャレンジしたのも一般です。
本資格の場合、都道府県ごとに試験が主催されます。最近は近隣の都道府県合同で試験が開催される地域もあります(東北、近畿、九州)。都道府県ごとに試験の実施時期や試験の傾向、合格基準までまったく違います。そのため、自分の住まいに縛られず、どの都道府県で受験するかが試験攻略の非常に重要なポイントになります。
「法規」「基礎化学」「性質及び貯蔵その他取扱方法」、そして実地と呼ばれる「識別及び取扱方法」の4科目で構成される都道府県が多く、合計で60%以上正解できていれば概ね合格です。
実地といってもただの筆記試験で「性質及び貯蔵その他取扱方法」と「識別及び取扱方法」の試験範囲はほぼ同じです。
世間一般では「簡単な資格」と評されています。でもどうかな? 受験する都道府県に左右されますが、試験自体はそれなりに難しく、生半可な気持ちで臨むと不合格を食らいます。

<試験対策>

5月末に甲種危険物取扱者を受験したため、6月中旬から勉強を開始しました。他の資格試験と並行して進めたため、スローペースで4ヶ月間かけて学習しました。
肝心の都道府県ですが、僕は群馬県を選択しました。住まいは東京都です。秋がいいなとか、土日がいいなとか。色々と考えていたら群馬県になりました。受験を思い立ったとき、すでに東京都の申し込み期限が過ぎてしまっていたので、どっちみち他所の県で受験するなら自分の都合に合わせようと。
群馬県は毎年の合格率が高めで、比較的攻略の容易な地域です。この資格が欲しければ他所の都道府県まで足を運ぶ気概は必要です。
もっとも! 群馬県は昨年まで4科目で計30問でしたが、今年から計40問に変更されると発表がありました。試験当日まで変更の詳細について一切明かされませんでした。問題数が変更になれば出題形式も変更されることは容易に想像でき、迷いはありました。でももういいやと。
以下、群馬県で受験する前提で紹介します。他の都道府県の受験でも勉強法そのものはさほど変わらないでしょうが。
僕は以下の教材を使用しました。

1.公論出版「毒物劇物取扱者短期合格テキスト第4版」

この教材を読めば、「法規」は概ねマスターできます。
「基礎化学」は高校を卒業していれば、当然の知識として持っているはずなので、本書ではおさらい程度の活用になります。実際、僕は斜め読みしかしていません。
厄介なのは「性質及び貯蔵その他取扱方法」と「識別及び取扱方法」です。なにしろ本書には150~200種類の毒物が紹介されています。これを全部暗記するのかというと、それは無理。しかも参考書に載っていないレアな毒物劇物が当たり前のように出題されるのが、毒物劇物取扱者。満点を取ろうと思わず、合格点を上回ればいいという気持ちで臨まなければいけません。
従ってわからないところを調べるための辞書として本書を利用しました。

2.過去問題
「性質及び貯蔵その他取扱方法」と「識別及び取扱方法」は過去問題をベースに対策しました。
インターネットで過去問題を集めて、まずは出題傾向をノート(EXCEL)に纏めました。僕は群馬県で受験すると決めたため、群馬県の過去問題を苦心して収集し、分析しました。どのような切り口で、どのような物質が出題されるのか。
その後、各都道府県の過去問題を片っ端から解いて問題に慣れました。都道府県ごとに出題傾向がまったく異なるため、自分が受験する都道府県以外の過去問題を解いても意味がないとはよく言われます。確かにそれはそうですが、他に適当な対策がないのも事実です。今回群馬県では試験問題数が変わるためどんな問題にも対応できるようにという気持ちもあって、積極的に様々な都道府県の過去問題に向き合いました。結果的に僕はある年度の全国の過去問題をすべて解きました。
ちなみに、全国で最も簡単なのは愛知県です。あくまで僕が過去問題を解いてみた実感でしかありませんが。最難関は福井県かな。

<試験当日>

片道2時間以上も電車に揺られ、遥々前橋まで。遠いです。
寄り道もせず、おとなしく試験会場へ直行しました。前橋って県庁所在地ではありますが、かなり寂れた場所でした。前橋と並ぶ主要都市の高崎との間を結ぶ鉄道(両毛線)も、1時間に2本しか運行していません。寄り道したくても寄り道がままならない環境でした。
試験会場は県立県民健康科学大学でした。試験会場まで前橋駅からさらにバス。しかもこのバスは1時間に1本。マイカーでの来場を前提とした会場でした。

さて、群馬県では今回から試験のルールが変更されました。件のように、従来30問だったのが40問へ。
試験会場にきて判明しましたが、以下のように問題数が変更されました。
・法規           :10問
・基礎化学         :5問から10問へ
・性質及び貯蔵その他取扱方法:10問
・識別及び取扱方法     :5問から10問へ
まあ、そうでしょうね。
試験問題数が増えた影響をそれほど感じませんでした。
むしろ「性質及び貯蔵その他取扱方法」で苦戦しました。問5はキノリン、問6は塩化亜鉛、問8はフェンバレレートもしくは三酸化二砒素のいずれか、問9は酢酸鉛というモブキャラについてきちんと理解していないと解けない問題で、きつかった(僕はこれらの物質についてノーマークでした)。問7のトルイジンもモブキャラで、しかも強烈な引っかけ問題。メトヘモグロビンでチアノーゼと言われたら、どうしたってアニリンを連想しますからね、普通は。
前半の問1だって決して平易な問題ではなく、トリフルオロメタンスルホン酸やアセトニトリルの除外濃度って、みんな正確に数字を暗記しているのでしょうか? 群馬県劇物の除外濃度について出題されたのは、近年たったの一度だけなのに……。
試験時間は90分でしたが、僕は60分で退室しました。問題用紙を持ち帰れるので、さっそくその場で教材やインターネットに頼りながら自己採点してみたところ、
・法規           :10問中8問正解
・基礎化学         :全問正解
・性質及び貯蔵その他取扱方法:10問中7問正解
・識別及び取扱方法     :全問正解
みたいな感じでした。
群馬県の科目ごとの足切りラインは非公表ですが、これなら問題なく合格です。
よしッ!と。
「法規」でポロポロとこぼしてしまったのはご愛敬で。
群馬県まで遠足にきた甲斐がありました。4ヶ月間勉強した末のチャレンジなので、しかもこの日の「性質及び貯蔵その他取扱方法」はきつかったので、結構達成感があります。
気分よく前橋駅前の土産物屋に寄り、群馬県っぼいものをいくつか買って帰途に着きました。

<試験結果>

本日インターネットで合格発表があり、合格が確定しました。
今回の合格率は46.5%とのこと。「性質及び貯蔵その他取扱方法」が難しく、それでも合格率が50%近くあることから、群馬県の科目ごとの足切りラインは低い(40/100点か、それ未満)と想定されます。
合格証の郵送依頼の手続きを経て、晴れて毒物劇物取扱者になれます。群馬県の場合、県外の受験者にのみ合格証を郵送してもらうことができます。

保有国家資格>

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*追伸2023.11.30*
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