リストラ:東芝デジタルソリューションズ

色々と落ち着いたので、この機会に表題の件について語ります。
今春、僕は長年勤めた会社を退職しました。
東芝デジタルソリューションズです。
退職の理由はリストラです。
僕にとって平成時代とは、東芝と出会ってから別れるまでの30年間とぴったり重なります。

 

【略歴】
ちょうど今から30年前、僕は新卒で東芝に入社しました。配属されたのは、情報処理制御システム事業本部。IT事業の中核部門です。まだ東芝オフコンを生産していた時代で、僕はオフコン用のソフトウェアを開発するシステムエンジニアとして働いていました。
ウィンドウズの登場によって東芝のIT事業はオフコン撤退となり、迷走を余儀なくされます。
2002年に東芝ITソリューションというIT子会社が設立され、所属していた部門ごと僕は転籍となりました。途中で社名が2度ほど変わり、現在の社名は東芝デジタルソリューションズです。

 

【転落】
2017年、粉飾決算、並びにウェスチングハウスという原子力発電のアメリカ子会社における巨額損失により、東芝が倒産の危機に陥りました。当時話題になったので記憶されている人も多いはずです。
対策の一環として、東芝は大規模なリストラに踏み切りました……というより今なお継続しています。東芝デジタルソリューションズ自体は黒字経営であるにもかかわらず、親会社が云々という意味不明な理屈で、僕もこれに巻き込まれました。
僕がリストラの対象になった理由について、なにも聞かされていません。しかし年齢と病歴が直接の理由になったことはほぼ間違いありません。
まず当時52歳という年齢は、組織内で最年長でした。
そして僕は遡ること3年前に鬱病を発症しています。当時応援に回ったプロジェクトは、5人の正社員が続けざまに鬱病で休職に追い込まれる超ブラック案件でした。12名前後の正社員が参画していて、5人が病院送りですよ!
プロジェクトではコンプライアンス違反が常態化していました。リーダーだった僕はその尻拭いを断ったことから、上司に仕事を妨害されるようになりました。当時の残業時間は過労死ラインの80時間/月を大きく越え、120時間前後/月だったはずです。肉体、精神ともに蝕まれた末に鬱病になりました。
その後1ヶ月半程度で復職しましたが、これがリストラの引き金になったと確信しています。
こんなことなら労働災害申請をしておけばよかったと思ったり思わなかったり。

 

【リストラ】
リストラの手口は狡猾です。対象となった社員に次のどちらかを選ばせます。
(案1)退職を条件に、現職に近しい再就職先を紹介する。給料は下がる可能性が高い。退職金の割り増しもなし。
(案2)田舎にある東芝系列会社の工場に出向を命じる。そこでは例えば3交代勤務の組み立て作業に従事する。
案1という人参がありながら、案2を選ぶ物好きはいません。
もっともスキル次第で案1という選択肢すら与えられず、無条件に案2送りという社員もいます。
仮に案2を選んだらキャリアパスが寸断されるので、今後IT業界に返り咲きたいと思い直したところで、復帰するのが困難になります。
僕は東芝デジタルソリューションズに対して辟易していたので、案1を選択することに迷いはありませんでした。
そもそも東芝にいたところで、55歳になれば役職定年という悪夢が待ち受けています。平社員への降格、及び給料の20%減額を甘受しなければなりません。
いずれにしても、53歳という年齢での退職に少なからず不安はありました。

 

【現在】
で、どうなったのか?
今年の4月から僕はよその業界で正社員として働いています。職種は前職と同じシステムエンジニアです。東証1部上場企業の100%子会社です。
ありがたいことに、8月より課長職を拝命しました。
いわゆるプレイングマネージャーです。一人二役を要求されるため、決して楽な役回りではありませんが、新鮮な気分で毎日を過ごしています……強がりではなく。課のみならず会社を次のステージへ上げていくために粉骨砕身する覚悟です。
東芝時代の肩書きは主務(主任)でした。同社で燻っていた僕にとって今回のリストラはステップアップに他ならず、嬉しい誤算でしかありません。

 

【最後に】
東芝のリストラの手口は人事裁量権の濫用に当たり、労働契約法違反です。だからこうして「違法性」についてブログで問題提起したいというのが、今回の論旨です。
たまたま僕はリストラをバネに飛躍を遂げましたが、だからといって違法のリストラを正当化してもらいたくありません。
そもそも社員の健康をなんだと思っているのでしょうか、ここの経営者は?
ブラック過ぎて話になりません、東芝デジタルソリューションズは。

 

【2020.02追記】
さらに半年後、僕がどのような運命を辿ることになったのかについて、以下の記事に記載しています。
https://colosseum.hatenablog.jp/entry/2020/02/01/231332

 

【2021.02追記】
さらにその後について記載しました。
https://colosseum.hatenablog.jp/entry/2021/02/28/163021