昨年、僕は転職した。いや、させられたという言い方が正しい。３０年間勤めた会社をリストラされたのだから。
５３歳という年齢で社会の荒波に放り出された。３５歳限界説が実しやかに囁かれる中で、不安がなかったと言えば嘘になる。
幸い、僕を雇いたいと言ってもらえる企業に出会えた。
前職はＩＴ企業で、転職先は人材派遣業。まったく勝手の異なる業界だったが、むしろそれがプラスに働いた。人材派遣業こそ僕の持ち味を活かせる、と勤めてみてはじめてわかった。あるいは中小企業という器が僕にジャストフィットだったのかもしれない。
とにかく会社からのチャレンジに対して、パーフェクトな形で解決まで持っていくことを心がけた。ただそれだけにこだわって日々の業務をこなした。
ちょうど１年が経った。
今、僕は技術部長として１５０名の部下を従え、多忙な毎日を過ごしている。
「５３歳でリストラされても、努力次第で道を切り開くことはできる」
似たような境遇にいる世の中のおっさん達を励ますためにも、僕はお手本として突っ走らなければいけない、と自分に言い聞かせている。今の僕にはこれが働くモチベーションの源泉になっている。
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