資格の活かし方

今日は「資格の活かし方」について。
そもそも「資格は役に立つのか?」という話から。
世間一般では「資格は役に立たない」と言われていますし、僕も尋ねられたらそのように回答します。「私は行政書士の資格を持っています」「僕は社会保険労務士の資格を持っています」とアピールしたところで、それが評価されて採用に至ることはないでしょう。行政書士事務所や社会保険労務士事務所に勤めるのであれば、いざ知らず。僕もかつて人材採用に関わった経験がありますが、資格の有無で採否を判断することはありません。
しかし資格って、持っていると稀れに役に立つことがあります。しかも物凄い破壊力を伴う場合があります。だから「芸は身を助ける存在」というのが僕の資格に対する認識です。
という事例を、僕の実体験をベースに紹介します。

〇 事例1:AIDD総合種工事担任者

勤務先のT社では資格取得に対する報奨金制度があった。工事担任者でも5万円の一時金をもらった。「こんな資格なんの役に立つの?」と上司に嫌味を言われながら。「だったら資格支援制度など作るなよ」と言い返したが。
T社では資格の報奨金として、総額でおそらく30万円前後もらった。次のL社では5万円の他に、特典として様々なノベルティグッズをもらった。ノベルティグッズは今でも宝物として大切に保管している。今のM社では報奨金と部活動費として合わせて8万円程度もらっている。
これらは実益を伴う事例。

〇 事例2:プロジェクトマネージャ

勤務先のL社が公的機関のシステム開発案件の入札に参加した。公的機関であるがため、入札の条件のひとつとして「高度情報処理技術者の有資格者が開発プロジェクトに参加すること」が掲げられていた。当時、僕の勤務先でプロジェクトマネージャ、システムアーキテクトなどの同案件に相応しい有資格者は僕しかいなかった。急遽、僕はこの案件に担ぎ出され、僕の名前を開発体制に連ねることで同社は無事受注に漕ぎ着けられた。
こういった便利屋みたいな才能を買われて事業部長を任された、と自身は認識している。
日常の業務に活用できる事例。

〇 事例3:ディープラーニングG検定

勤務先のL社でPython技術書籍の出版企画がスタートした。その際、(1)pythonやAIの知識がある、(2)書籍制作の知識がある、(3)チーム統率のスキルがある、の3つの資質がリーダーに求められた。僕がこの人物像にジャストフィットし、直ちに白羽の矢が立った。
もしも僕がG検定の有資格者でなければ(1)の条件に適わず、大役を任されなかった可能性が高かった。資格のおかげで、プログラミング書籍の制作という願ってもないチャンスを掴むことができた。
夢への自己実現に応用できる事例。

〇 事例4:第二種情報処理技術者

バブルの頃、新卒で某総合電機メーカーのT社に就職した。IT事業の本社配属の新入社員約70名のうち、入社時点で情報処理技術者の資格を持っていたのは、僕を含めた2、3名しかいなかった。なにしろ資格が軽んじられていた時代だった。
新入社員研修の中で、講師から僕は情報処理技術者の有資格者としてみんなの前で紹介され、それを聞いた同僚の女性が「矢野君は凄い」と本気で思ったらしい。
結局、僕はこの女性と交際し、結婚して現在に至る。今でも妻からこの話を聞かされるので、資格が良縁をもたらす一因になったのは間違いない。
結婚にも活用できる事例。

〇 事例5:システム監査技術者

一昨年、息子が就職活動対策として応用情報技術者の受験を決意した。午後の選択問題でどの分野を選択するべきか相談され、僕はシステム監査を勧めた。彼にはシステム監査の見識がなく躊躇したため、有識者である僕がシステム監査のコツを俄か講義した。その結果、本番の試験で息子はシステム監査を選択し、彼の一発合格を後押しした。
息子は先日、就職活動で名門企業から内定をもらった。就職活動を振り返ってみて、応用情報技術者の資格が先方企業から評価される「とどめ」になったと語っている。
育児にも活用できる事例。

このように色んな役立て方があります。いずれも皆さんがイメージする「いかにも」な資格の活かし方とはまったく異なるシチュエーションで、臨機応変に活用した事例です。
僕はあらかじめ色んな武器を懐に隠しておき、いざ戦闘モードに突入したら「じゃ、今回はこの武器で一撃をかまそう」みたいなアプローチが得意です。これが資格の活かし方の神髄です。
資格を通じて、目先の利益ではなく、いかに長期的な視野に立って努力を継続できるかどうかが試されます。